オフ会しまーす。詳しくは
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mixiやってる人のみの募集ですのでご了承ください。
どうして私はこんなところにいるのだろう。
こっそり辺りを見回しながら、佐藤恵美はため息をついた。
恵美は23歳のごく平凡なOLだ。
彼氏は3年前からいないが、特に寂しいわけでもない。
趣味は映画鑑賞と読書。映画館に一人で入ることに抵抗はない。
引っ込み思案な性格だからなのか、友人と休日を過ごすことは滅多にない。
一人のほうが楽だし、気も遣わないからだ。
そんな恵美が、この日はある男と食べ放題の焼肉店にいた。
恵美は男に気付かれないようにそっとメニューに目をやり、食べ放題の料金を確認した。
食べ放題1500円。そこにははっきりとこう書かれていた。
テーブルを挟んだ向かいに座る男は、自慢のロン毛をしきりに掻き揚げながら、一人で喋り続けている。
「でもさぁ、今日は恵美ちゃんが来てくれてよかったよぉ。仁に感謝だな。恵美ちゃんはかわいいね。仁と全然似てないじゃん」
「は、はあ」
この男、良平は、兄である仁の友人だ。
昔からお兄ちゃん子である恵美は、兄にどうしても良平と会ってくれと頭を下げられ、断りきれなかったのだ。
「ここの焼肉超上手いんだぜ。マジで」
「そうですか」
「ほらどんどん食って。遠慮しなくていいからさ」
食べ放題に遠慮もなにもないだろう、と思ったが兄のためだと思い、笑顔で頷いておいた。
「恵美ちゃんって何歳だっけ」
「23歳です」
「えっ、23?俺と10歳も違うんだ。若いねぇ」
そうだった。この男は兄と同い年だったんだ。
はたと気が付き、恵美は良平をさり気無く上から下まで眺めた。
茶髪のロン毛で両耳に3個ずつピアスをつけている。
真夏なのに長袖のシャツを羽織り、純白のパンツを穿いている。
あ、あのお笑い芸人に似てるな・・・。何て名前だっけ?僕イケメンっていう・・・。
えっと・・・。
考え事をしていたら、良平が恵美の目の前に手をやり、左右に振った。
「ちょっとー聞いてる?」
その時、安っぽい香水の匂いが恵美の鼻を付いたと同時に、シャツの隙間から黒々とした腕毛が見えた。
長袖の理由はこれだったのか。腕毛が濃いのを気にしているのか?
「あ、ごめんなさい。えっと何でしたっけ」
「恵美ちゃんはボーっとしてるんだね。そこも可愛いんだけどさ。はははっ」
「あ、あはは」
「ここの肉うまいだろう」
こんな安い肉を食べさせておいて、よく感想など聞けたものだ。
「あ、はい。」
「今日は俺がおごってあげるからね」
良平は得意気に足を組みなおし、出されていた紙製のお絞りで口を拭った。
「ところでさぁ、俺ももう年だよ。こんな肉食べたら翌日に残って仕方がないんだよね。学生時代は違ったんだけどな」
「はぁ」
「俺っていくつに見える?」
「えっと・・・」
「正直に答えていいよ」
自信満々で恵美を見つめながら、ぐいとビールを飲み干した。
「に、20代に見えますよ」
「あ、やっぱり?よく言われるんだよねー若いって」
「そうですか」
「でもやっぱりおっさんだよ。俺は。だってさ、恵美ちゃんが小学生の頃、俺もうタバコ吸ってたからね。あっはっは!」
「はあ」
「車だって乗り回してたし、酒だって。あ、飲酒運転はしてねえからな!あっはっは」
笑いのポイントが分からない。
酔いが回ってきたのか、饒舌になり始めた良平を冷めた目で見つめる恵美。
兄の頼みでなかったら、トイレに行くと言って店を出ているところなのに。
「俺さぁ、会社経営してるんだよね。金だけは持ってんのー。そう見えねぇだろ?」
「そ、そんなことないですよ」
この場所でよくもそんなことが言えたものだ。
どこからか視線を感じると思ったら、隣に座っているカップルがコソコソ話しながらこちらを見ているのに気が付いた。
帰りたい。今すぐに帰りたい。
「俺、今度マンション買おうと思ってるのー。4LDK!大台!みたいなー。あはははは!」
「・・・。」
何が大台だ。もはや意味が分からない。
「てかここの肉、ちょっと脂が多くね?」
「そうですね。」
安いんだから脂くらい我慢しろ。
「あー俺お茶飲みてぇわ。あ!ちょっと見てよ。隣のテーブルにはウーロン茶のピッチャーあるじゃん。何でうちのテーブルには出してくんねえの?」
隣のテーブルを顎でしゃくりながら、聞こえよがしにそう言った。
隣のカップルの彼女のほうが、同情めいた目でこちらを見てくる。
「ほらほら、恵美ちゃんもっと肉食って!もったいないじゃん!」
「はい」
「俺おじさんだからもう食えねーわ。・・・あ!ちょっと見て。隣のテーブルのあの肉!うちのメニューには載ってないんだけど、どういうこと?」
食べ放題1500円のメニューに骨付きカルビなんてあるわけないでしょ。
呆れ果てて言葉も出ない。
ここまでくると隣のカップルも苦笑いだ。
地獄のような2時間を過ごした後、二人はレジへと向かった。
「あ、会計は俺が払うからね。俺お金だけはあるんだ」
「ありがとうございます・・・」
「いやー食ったね。あんなに食ったの学生以来だぜ」
「はい」
「じゃ、帰ろっか」
こともあろうに良平は、恵美の肩に手を回してきた。
兄の友人でなかったら、2,3発はお見舞いしているところだ。
心の中でつぶやいた。
「さて、この後どうする?」
この男は帰る以外の選択肢があるとでも思っているのか。
「ちょっと明日早いんで・・・」
「仕事?」
「はい・・・」
「会社この辺って言ってたっけ?」
「あ、はい」
「じゃあ、もう夜も遅いし泊まってくか」
「え?」
良平は、恵美の肩を抱いたまま、一泊9800円と看板を掲げるホテルのほうへと早足に向かった。
おいおい、私はモナとは違うぞ。
ってそんなこと言ってる場合ではない。
冗談じゃない、こんな男と一晩過ごすなんて。
「すみません、ちょっと無理です」
「え?」
「帰ります」
「ちょっと待てってば」
無理やり恵美を掴む良平。
「やめてって言ってるでしょ!」
思いっきり良平の頬にビンタを食らわせてしまった。
良平は唖然としている。
ついにやってしまった・・・。兄の友達なのに・・・。
そのまま恵美は逃げるように帰宅した。
「ただいま・・・。」
「お、どうだった?デートは?」
「ごめん、お兄ちゃん・・・。私・・・。」
「え?」
「お兄ちゃんの友達なのに酷いことしちゃった・・・。」
「何言ってるんだ?今良平から電話が入ってるとこだったんだ。ちょっと出てみてくれ。」
「え・・・。」
「ほらほら。」
絶対罵られる。あんな酷いことしたんだもの。
受話器を持つ手が自然と震えてしまう。
でも兄が見ている手前、切ることも出来ない。
意を決して電話に出ることにした。
「もしもし・・・さっきはすみませんでした。」
「・・・・・たよ。」
「え・・・?」
「よかったよーあのビンタ!もう最高だね!俺さぁ、こう見えてドMなんだ!」
「・・・。」
「ねえまた会おうよー!何ならもう1発お見舞いしてくれてもいいよーなんちゃって!」
恵美は黙って終話ボタンを押した。
このあと恵美が1週間兄と口をきかなかったことは言うまでもない事実である。
この間焼肉店に行ったとき、隣に座っていたカップルがこのような会話をしていました。
(フィクションを含む)