今日は
ガマガエルのいるあのホテルで配膳のバイトをしてきました。
(注:ガマガエルとは派遣のバイト先のホテルで働くガマガエルそっくりの嫌味ったらしい中年ホテルマンのことです。)
今日も寒いなぁ・・・バイト嫌だなぁ・・・でもお金無いしなぁ・・・。
なんて思いつつ俯きながらトボトボと歩いていました。
そして顔を上げた瞬間、目にガマガエルの姿が飛び込んできました。
・・・出勤早々ガマガエルと出くわすとは・・・。
私:「お、お疲れさまです。」
ガマガエル:「お疲れ様です。」
今日の機嫌はまあまあだったようですが、幸先の悪いスタートでした。
しかし、準備をしていざ会場に向かってみると、ガマガエルの姿はありませんでした。
どうやら今日の担当はガマガエルじゃなかったようで・・・・。
ラッキー!ラッキー!わーい!
一人浮かれていたのですが・・・今日はやはり厄日でした。
お客さんが一風変わった集団だったのです。
今日のお客さんは、私立高校の先生たち(数名)でした。
どうやら調理科かなにかの先生たちのようで、最初から料理の話で盛り上がっていました。
中年女教師A:「いやーしかし彼女たちは素晴らしかったですねぇ!」
中年男教師B:「いやはや!今日は飲みましょう!」
校長(高齢):「フォフォフォフォフォ。」
中年女教師C:「校長先生はあまり飲みすぎないようにしてくださいね。」
中年男教師D:「まあそうおっしゃらずに今日は無礼講で騒ぎましょうよ!」
校長:「フォフォフォフォフォ。」
中年女教師A:「えーそれではですね、校長先生のほうから乾杯をお願い致します。」
校長:「フォフォフォフォフォ。」
皆:「・・・。」
校長:「フォフォフォフォフォ。」
中年女教師A:「あ、あのー校長先生、乾杯を・・・。」
校長:「フォフォフォ・・・あ、すまんすまん。」
こ、校長先生すでにボケてる・・・?
校長:「モゴモゴ・・・モゴモゴモゴモゴ乾杯!」
皆:「か、乾杯・・・!」
校長は入れ歯の調子が悪いのか、何を言ってるのか分かりませんでした。
それから皆さん食事をスタートさせたのですが、いかんせん食べない!
何に遠慮しているのか、押し黙ったまま、ビールを飲む音だけが会場内に響き渡りました。
私:「失礼いたします・・・。」
料理を出す時に声をかけるのですが、ついついその声も小声になってしまうほどでした。
・・・この先生たちは仲が悪いのか?
そう思いはじめたころ、中年男教師Bが酔っ払い始めたのか、しきりに自分の生徒たちの自慢をしはじめました。
中年男教師B:「いやーしかしうちの生徒たちは全国大会に出場が決まりましたからねー。」
中年女教師A:「素晴らしいですねえ。」
中年男教師B:「はっはっは!何事もチャレンジすることが大事なんですよ!」
中年男教師D:「それはそうですねぇ。チャレンジが一番大事ですよ。」
中年男教師B:「そうでしょう?若者はチャレンジ精神を持っていないと!」
中年女教師C:「そうですねぇ。」
中年男教師B:「はっはっは!あ、すみません!焼酎を!」
私:「かしこまりました!」
中年男教師Bは調子に乗ってきたのか焼酎を頼み始めました。
私:「お待たせしました。」
中年男教師B:「どうも!」
中年男教師Bは、物凄い勢いで焼酎を飲み干し・・・
中年男教師B:「おかわり!」
私:「かしこまりました!」
中年男教師B:「おかわり!」
私:「はい!」
中年男教師B:「おかわり!」
私:「は、はいー!」
飲むわ飲むわ水の如く飲む!
・・・そして案の定。
中年男教師B:「ぐへへへへへへ・・・しかしですねぇ、チャレンジすることが大事なんですよ〜。」
校長:「・・・。」
中年男教師D:「そ、そうですねぇ。」
中年男教師B:「グハハハハハハ!」
校長:「・・・。」
中年女教師A:「あ、あはははは。」
中年男教師B:「ま、飲みましょう!校長!」
校長:「フォフォフォフォフォ。」
調子に乗り切った中年男教師Bは校長にどんどんお酌をしはじめました。
・・・大丈夫なのかよ!あの校長!ぽっくり逝くんじゃ・・・?
そして30分後。
校長:「・・・ヒック。」
校長は椅子の上で硬直していました。
まばたきもせず、何も食べず、一点を見つめる校長。
ほ、ホントに逝ったの・・・!?
中年男教師B:「しかしですねー!チャレンジが大事ですよ!グハハハハ!」
校長:「・・・。」
中年女教師C:「そ、そうですねぇ。」
校長:「・・・。」
中年男教師B:「グハハハハハハ!チャレンジが大事なんですよ!ハハハハハ!」
同じ話を何度もする中年男教師B。
しきりにチャレンジが一番大事だと熱弁をふるっていました。
・・・とそのとき。
さっきまで一点を見つめたまま硬直していた校長が、いきなり口を開きました。
校長:「challenge!!!!!」
皆:「・・・!?」
校長:「・・・。」
素晴らしい発音で校長が「チャレンジ!」と叫びました。
中年女教師A:「こ、校長先生は英語専門だったんですよねぇ。おほほほほほ!」
中年男教師B:「グハハハハ!校長!なかなかやりますな!チャレンジの次はリベンジですかな!グヒヒヒヒ!」
校長:「・・・。」
皆:「・・・。」
中年男教師B:「グハハハハ!」
中年男教師Bの意味不明のギャグに一気に白ける一同。
しかし全く空気を読まない中年男教師Bは一人でしきりに「チャレンジ!リベンジ!グハハハハ!」と大笑いしていました。
そして・・・
中年男教師B:「ちょっとお姉さん!」
私:「はい!」
中年男教師B:「おしぼり皆の取り替えて!」
私:「おしぼりですか?」
中年男教師B:「そうだよ!早く!」
唐突におしぼり交換を要求してきました。
私:「かしこまりました。」
すぐさまおしぼりを交換しました。
すると・・・
中年男教師B:「ちょっと!お姉さん!」
私:「はい!」
中年男教師B:「あそこの人とあそこの人と僕に焼酎ね!」
私:「・・・はい、かしこまりました。」
まだ半分以上焼酎が残っているグラスをこちらに差し出しながらそう言う中年男教師B。
・・・もったいないなぁ。
そう思いながら指示されたとおりに焼酎を作り、お出ししました。
皆まだ焼酎が半分以上残ってるのに新しいものを持ってこられて困惑している様子でした。
まさにおせっかいといった感じ。
しかしそれを見た中年男教師Bは「はっはっは!俺は気の利く男なんだぞ!」といった表情で大満足している様子でした。
それからも・・・
中年男教師B:「ちょっと!あそこの人(中年女教師A)にウーロン茶のおかわり聞いてきて!」
私:「はい・・・。(まだ半分以上残ってるのにいるって言うわけないじゃん!)」
そして・・・
私:「すみません、ウーロン茶のおかわりいかがですか?」
中年女教師A:「え・・・いいです。」
明らかに、「こんなに残ってるのにおかわりなんているわけないじゃん。何こいつ!」的な目で断られました。
なんか私がおせっかいみたいな雰囲気になってるし!
全部中年男教師Bの指示なのに!
勘弁してよ!
中年男教師Bは極度に酔うと人の世話をしたくなるタイプなようで・・・
中年男教師B:「僕のデザートいりません?」
中年女教師C:「い、いいです。お腹いっぱいなんで・・・。」
中年男教師B:「校長は?」
校長:「・・・ヒック!」
中年男教師B:「いるんですね?ここに置いておきますね〜♪」
あちこちでおせっかいな行為を繰り広げていました。
そして宴会も終わりに近づき、締めの挨拶が始まりました。
こともあろうに、中年男教師Bが締めの挨拶の担当だったようで、一人立ち上がり喋り始めました。
中年男教師B:「ゴ、ゴホン!宴たけなわではございますが、ここで一つ締めの挨拶を!」
皆:「・・・。」
中年男教師B:「今回の宴会で今一度大事だと思ったことがあります。」
・・・どうせチャレンジでしょ!
んで、またリベンジとか言い出して笑い取るつもりなんでしょ!どうせ白けるからやめておきなって!グハハ!
中年男教師B:「やっぱり大事なのは・・・」
皆:「・・・。」
中年男教師B:「忍耐です!忍耐力こそ一番大事なのです!」
えー!あれだけチャレンジが大事だって熱弁ふるってたのに!忍耐て!
忍耐の話なんてこれっぽっちもしてなかったじゃん!
中年男教師B:「忍耐こそ一番重要なのです。ナンタラカンタラ!」
結局最後までチャレンジの話は出てこず・・・。
しかし、あのぽっくり逝きそうな校長が帰り際に、死に際の一言みたいな感じで「challenge!! challenge!!」と呟いていたのを私は聞き逃していませんでした。
校長・・・fight!!!!!!!!!!

