私はこっそりと店に入りバックルームへと向かいました。
幸運なことにそこにはオーナーの姿はありませんでした。
小田くん:「お疲れ様ですー。」
私:「お疲れ!き、聞いた?」
小田くん:「辞めるって話ですか?」
私:「う、うん。」
小田くん:「聞きましたけど、冗談でしょ?」
私:「ま、まさか!本気だよ!冗談で辞めるだなんて言うわけないじゃん!」
小田くん:「ま、マジですか・・・。」
私:「寂しくなるけど、頑張ってね。」
小田くん:「はい・・・。」
心なしか少し凹んでいる様子の小田くん。
私:「ははは!でもまたオーナーたちが居ないときに遊びに来るしさ!」
小田くん:「はぁー、○○さんの豪快な食べっぷりも見られなくなるのかー。あ、あそこの焼肉屋で送別会しますよ!ヒヒヒ!もちろん○○さんのおごりですけどね!いや、むしろこれからラーメンでも食べに行きましょう!シフトなんて放っておいて!」
前言撤回。
私:「はぁ。相変わらずだねぇ、君は。ところで小田くんは辞めないの?」
小田くん:「え?辞めないですよ。杉本さんもいますし。ヒヒヒ。」
私:「なるほどね。いいね~ラブラブ!」
小田くん:「グヒヒヒヒヒ!あ、でも杉本さんがさっきから凹んでますよ・・・。」
そこに杉本さんがやって来ました。
杉本さん:「本当に辞めるの?」
私:「あ、はは、まぁ・・・。もう気持ちは変わらないと思います。」
杉本さん:「そうなんだぁ。寂しいなぁ・・・。」
私:「ま、また遊びに来ますし!廃棄貰いに(*`▽´*)」
杉本さん:「・・・。」
杉本さんとは同時期に働き始めたし、仲良くさせてもらってたから寂しいんだろうな。
辞めるのは本当に清々するけど、別れがあるのは辛いですね。
って言っても家から店まで徒歩5分強なんですけど。え?
私:「そういえばオーナーたち何か言ってました?改善してほしいことを手紙書いて渡したんですけど・・・。」
杉本さん:「あ、ノートに店長が沢山書いてたみたいだけど・・・あんまり改善はされてないかも・・・。」
私は急いでノートを開き、店長がどのように書いてあるのか確かめました。
そこにはレジ点検で出たマイナス分の負担についてギッシリと書かれていました。
・100円未満は店負担
・100円~1000円はアルバイト負担
・1000円以上は面接
掻い摘んで書くとこんな感じに書かれてました。
私:「小田くんノート見た?」
小田くん:「見ました。」
私:「・・・結局マイナス負担は無くならなかったんだね。」
小田くん:「そうみたいですね。」
私:「この条件じゃ、前とさほど変わらないじゃん。面接って書いてあるけど、結局はアルバイト負担になるに決まってるよ。今までの経験上。100円~1000円が一番払いたくない額なのにね。はぁ、何かショックだな・・・。」
小田くん:「ま、いいんじゃないですかね~。そんな小さなこと言わずにドーンと払いましょうよ!ヒヒヒ!」
私:「私はご免だね!だってお金稼ぎに来てるのに1円だって払いたくないよ!」
小田くん:「はぁ、○○さんは体に似合わず小さいですねー。」
私:「な!ど、どういう意味よ!」
小田くん:「ヒヒヒヒヒヒ!!」
小田くんは器が大きいのかおバカなのか、相変わらずの小田くんでした。
そしてドキドキのシフト終わりのレジ点検。
私:「じゃあ点検してくるね・・・。」
俄かに緊張しながらパソコンにデータを打ち込みました。
+50円
よ、よかったぁぁぁぁぁ!
私:「+50円だったよ!」
小田くん:「はぁ、よかった。払わなくて済んだ。」
私:「ってかプラス分はどこに消えてるのかね?マイナスはアルバイトから徴収するくせにプラスの行き先は不明だし。」
小田くん:「それはオーナーたちの懐の中でしょう。」
私:「それは無いだろう!・・・でも強ち有り得るかも。」
小田くん:「ヒヒヒ。」
私:「ってかさぁ、プラスが出て喜ぶ店ってのもあまり良くないよね。だって実際お客さんから余分にお金取ってることになるんだよ?前働いてたコンビニではプラス出したら怒られてたんだけどなぁ。」
小田くん:「そう言われたらそうですね。プラス出たらオーナーたち大喜びですもんね。僕たちも大喜びだけど。」
私:「やっぱりオーナーたちの方針とは合わないや。何でもっと早く気が付かなかったんだろう。」
小田くん:「ま、細かいことはいいじゃないですかー。」
私:「う、うん。」
小田くん:「そんなことより僕今日も学校行ってないんですよ。寝たのが朝の6時でぇ!」
私:「・・・はぁ。」
相変わらずマイペースな小田くん。でも憎めない可愛い後輩。
一緒に働くことが無くなると思うとやっぱり何だか寂しいんだなぁ。
小田くん:「ヒヒヒ・・・○○さん、辞める前にムカつく客を一発殴ったらどうですか?」
私:「ヒヒヒヒ・・・よい作戦ではありますな・・・小田氏。」
小田くん:「ヒヒヒヒ・・・。あのオヤジはどうですか?」
私:「ヒヒヒ・・・どのオヤジかね?」
小田くん:「○○さんの写真をバカにした・・・。」
私:「あ、
あのオヤジか!お、覚えてろ・・・。ヒヒヒヒヒ・・・。」
残り少ないコンビニ生活を有意義に過ごそうと目論んでいる私なのでした。
あ、実際そんな度胸無いっす。ふふふふ・・・。
追伸 皆さんたくさんコメントありがとうございました(*`▽´*)ワーイ


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